タイトルに「星(star)」という単語を含むスタンダードナンバーの多いのは、夜空に煌めく星の美しさ、神秘的な魅力などを考えれば至極当然と言えよう。実際、特に意図したわけでもないのに、本サイトでも「スターダスト=星屑」「星に願いを」の二曲を既にご…
今回はブルーノート(Blue Note)に続いてジャズ・レーベルを取り上げる。第二次大戦後、アメリカでは雨後の筍の如く新しいレーベルが次々と誕生し、その中に、後に三大ジャズ・レーベルの一つと称されることとなるプレスティッジ・レコード(Prestige Record)…
先の「ジャズ・レーベル(1)―ブルーノート」で、同レーベルらしい魅惑的なカヴァーを具えたアルバム例として「クール・ストラッティン(Cool Struttin')」を挙げたが、今回はそのリーダー・アーティストであるピアニスト、ソニー・クラーク(Sonny Clark)をご紹…
「時の過ぎゆくままに」と同じく、邦題に些か問題のあるスタンダードナンバーとして、「朝日のようにさわやかに(Softly, As In A Morning Sunrise)」を挙げることができる。この曲もまた、元々は1928年に公開されたオペレッタ―ミュージカル「ニュー・ムーン…
振り返ってみると、もう長い間、アーティストと名曲・名演とを織り合わせながらご紹介してきた。無論、いずれのテーマもまだまだ尽きることはないのだが、ここで新たな主題を追加するのも悪くはないだろう、と思い付いた。それすなわち、ジャズのレーベルで…
先にご紹介した「いつか王子様が」と同じく、ディズニー映画の主題歌からスタンダードナンバーとしての確固とした地位を確立した曲に「星に願いを(When You Wish Upon A Star)」がある。このようなルーツの共通性に加え、両者は、曲自体は固より、邦題の具え…
ジャズの世界では、若くしてこの世を去ったアーティストが少なくない。これまでにご紹介した中にも、リー・モーガン(享年35、以下同様)、ポール・チェンバース(35)、クリフォード・ブラウン(26)、スコット・ラファロ(25)といった例を挙げることができる。そ…
「時の過ぎゆくままに」という、非常に味のある邦題に訳されている"As Time Goes By"もまた、元々ブロードウェイ・ミュージカルのために書かれた曲である。作詞・作曲ともハーマン・フップフェルドの手になり、1931年、「エブリバディズ・ウェルカム」の挿入…
この時季、街へ出ると(実はあまり出ないのだけれど…)、さまざまな場所で、同じ曲を、違った形で耳にすることが多い。そんな曲には、タイトル・メロディともにすぐピンとくるものがある一方、メロディは耳に馴染んでいても、そのタイトルの方は思い浮かばない…
改めて過去の記事のタイトルを眺めたところ、ジャズのフロントとして欠かせないアルトサックス・プレイヤーをまだ三人しか取り上げていないことに気付いた。そこで今回は、優れた、そして個性豊かな人材を擁するそのジャンルから、新たに一人をご紹介したい…
映画・文学にしろ音楽にせよ、その作品のタイトルを適正かつ味わい深く訳すのが簡単でないことは、あらためて言うまでもないだろう。違和感を禁じ得ないような邦題がまかり通ってしまっている例が遺憾ながら見られるのも、そのためである。そんな中、"Someda…
ソニー・ロリンズとジョン・コルトレーンをご紹介し、これでテナーサックス奏者は一段落―と安堵したわけではないのだが、以来、このジャンルの記事は暫くご無沙汰になってしまった。しかし実際は一段落どころではなく、このジャンルにはまだまだ取り上げねば…
平地ではまだ夏の名残が色濃いかもしれないが、山の上の木々は既にだいぶ色づき、時折散り落ちる葉も見え始めている。この季節、聴かずにはいられない曲がある―と言えば、もうお分かりだろう。そう、数あるスタンダードナンバーの中でも、最も多くのアーティ…
「夜」をモチーフにしたジャズの名曲は枚挙に暇がない。そのような数ある宝石の中でも、「スターダスト=星屑(Stardust)」は、魅力・知名度ともにトップクラスに位置する作品と言え、多くのアーティストが好んで取り上げてきたという事実がこれを裏付けてい…
「恋のチャンスを」あるいはよりシンプルに「恋のチャンス」との邦題をもつ"Taking A Chance On Love"もまた、1940年公開のミュージカル「キャビン・イン・ザ・スカイ」に挿入歌として使われた曲である。良妻ペチュニアと悪女ジョージア・ブラウンとの間で揺…
現在、ジャズのスタンダードナンバーとして定着している曲には、元々ミュージカルのために書かれたものが少なくないが、今回ご紹介するマイ・ファニー・ヴァレンタイン(My Funny Valentine)その一例である。作詞・作曲はそれぞれロレンツ・ハート、リチャー…
「トランペット(1)」および「トランペット(2)」でご紹介したように、ある意味ディジー・ガレスピーを源流として、時代を画するトランペッターが二人現れた。彗星の如く姿を見せ、瞬く間にこの世を去った、ブラウニーことクリフォード・ブラウンと、後に帝王…
今回はまたミュージシャンへと戻り、まだ一度しか取り上げていないジャズ・ベーシストをご紹介しようと思う。破天荒、自堕落といった形容詞が付きもののジャズ・ミュージシャンの中、異彩を放っているのがロン・カーターである。1959年にイーストマン音楽学…
有名なスタンダード・ナンバーである「オール・オブ・ユー(All of You)」は、1955年のミュージカル「絹の靴下(Silk Stockings)」を彩る一曲として誕生した。このミュージカルの原作は、ハンガリーの劇作家メルヒオル・レンジェルのシニカル・コメディ「ニノ…
今回ご紹介するスタンダード・ナンバー「ミスティ(Misty)」は、私が「ジャズ」と意識して聴いた最初の曲(そして演奏)で、それゆえ一種特別の想いがある。もう数十年も前のことになるが、オーディオ雑誌に掲載されていた記事を読んでジャズに興味をもち、土曜…
1920年代の中期、名コンビとして数々のヒット曲を世に送り出した作曲家レイ・ヘンダーソンと作詞家モート・ディクソン。その代表作の一つに、1926年に書かれた「バイ・バイ・ブラックバード(Bye Bye Blackbird)」があり、次のように歌われる。Blackbird, bla…
前回に続き女性ジャズ・ヴォーカリスト。このジャンルについては、本稿の二人をもって一先ず終えようと思う。アビー・リンカーンは、音楽を愛好する家庭に生まれ育ったこともあり、幼い時から学校や教会などで歌っていたものの、プロ・デビューは20歳を過ぎ…
今回は女性ジャズ・ヴォーカルに戻り、二人をご紹介する。先に「女性ジャズ・ヴォーカル(2)」において、エラ・フィッツジェラルド、サラ・ヴォーン、ビリー・ホリデイを、「三大ジャズ女性ヴォーカル」とご紹介したが、ビリー・ホリデイの代わりにカーメン・…
前回に引き続いてジャズの名曲・名演、今回ご紹介するのは「A列車で行こう(Take the 'A' Train)」だ。あらためて言うまでもなく、これは数あるスタンダードナンバーの中でも特に有名なものの一つで、たとえ曲名は知らなくても…
ジャズ・アルトサックス・プレイヤーが二回続いた後の今回は、スタンダード・ナンバーへ戻って「マイ・ロマンス(My Romance)」をご紹介したい。この曲は、1935年に初演されたミュージカル「ビリー・ローズのジャンボ」の主題歌として、詞はリチャード・ロジ…
アルトサックス・プレイヤーの二人目としては、ポスト・チャーリー・パーカーとも呼ばれたジャッキー・マクリーンをご紹介したい。「ジャズ・テナーサックス(3)」においても述べた通り、マクリーンはハイスクールにいた時分、ソニー・ロリンズ、ケニー・ドリ…
ジャズの代表的アーティストの紹介に戻り、アルトサックス・プレイヤーを取り上げたい。ジャズ・シーンにおいて、アルトサックスはテナーサックスに比べると人気の面では一歩譲るかもしれないが、それに勝るとも劣らない重要な位置を占める楽器であることは…
前回に続き、ジャズ・スタンダードナンバーを取り上げたい。多くの聴衆やアーティストに愛されて、歌い継がれ、演奏され続ける曲を「スタンダード・ナンバー」ということは先にも述べたが、この言葉の由来をご存知だろうか?これは、もともとニューヨークの…
しばらくジャズのアーティスト、すなわち人物の紹介が続いてきたので、ここでまた少し視座を変え、楽曲を取り上げてみようと思う。と言っても、ジャズで奏される曲は星の数ほどあり、そこから何を選択すべきか途方にくれるので、先ずは「スタンダード・ナン…
もう一人はビル・エヴァンス。エヴァンスの名は、単にジャズ・ファンに限らず、音楽好きなら恐らく誰でも耳にしたことがあるのではないかと思う。ところで、"William John"がどうしてBillとなるのか、これはニックネームなのか、と疑問に思う方もいるかもし…