ジャズ on the net|JAZZの名曲・名演を動画で試聴

Jazzの歴史から代表的アーティスト、名演奏、スタンダードナンバー、おすすめの名盤まで―YouTubeの動画を視聴しながら、ジャズを愉しむためのツボをご紹介します。

ホワッツ・ニュー(What's New)

ウェブサイトなどでよく目にする、「新着情報」といった意味の"What's New"をタイトルとするスタンダードナンバーがある。

 

もっとも、追ってお分かりの通り、文法上の用法、意味合いは異なる。

 

 

この"What's New"は、ビング・クロスビー(Bing Crosby)による大ヒットやリンダ・ロンシュタット(Linda Ronstadt)が1980年代にこれを歌ったことなどにより、ヴォーカル曲というイメージが浸透しているが、元々はインストゥルメンタル曲として書かれた。

 

作曲者はボブ・クロスビー(Bob Crosby、本名:George Robert Crosby)率いる楽団でベースを担当していたボブ・ハガート(Bob Haggart)。

 

同僚のトランペット奏者ビリー・バターフィールド(Billy Butterfield、本名Charles William Butterfield)の演奏を念頭に置いた作品で、当初は「アイム・フリー(I'm Free)」として世に出、作曲されたその日にボブ・クロスビー楽団がレコーディングしている。

 


そして翌年、ジョニー・バーク(Johnny Burke、本名John Francis Burke)により詞が付されて、これを同楽団とヴォーカリストのテディ・グレイスが現行タイトル"What's New"を冠して録音、さらに上に述べたビング・クロスビーとジョン・スコット・トロッター(John Scott Trotter)楽団によるパフォーマンスもあって、斯界に盤石の位置を占めることとなったのである。

 

 

 

 


その詞は次のように歌う(付:拙訳)。

 

What's new?
お久しぶりね?
How is the world treating you?
あれから上手くいってるの?
You haven't changed a bit
あなたは少しも変わってない
Handsome as ever I must admit
あの頃と同じように素敵よ

 

What's new?
お元気だった?
How did that romance come through?
あの人とはうまくいってるの?
We haven't met since then
あなたとはあれ以来だけど
Gee, but it's nice to see you again
やっぱり、会えてうれしいわ

 

What's new?
ごめんなさい
Probably I'm boring you
こんな話は退屈よね
But seeing you is grand
でも本当に嬉しいの
And you were sweet to offer your hand
手を差し伸べてくれたあなたに会えて
I understand
わかっているわ

 

Adieu
もうお別れね
Pardon my asking what's new
あれこれ聞いてごめんなさい
Of course you couldn't know
気付かないかもしれないけれど
I haven't changed
わたしも変わってないの
I still love you so
今でも愛しているの

 


この詞の追加は、同曲を取り扱う音楽出版社の注文によるとされるが、ビング・クロスビーはボブ・クロスビーの兄で、そこからの働き掛けもあったのかもしれない。

 

https://www.youtube.com/watch?v=4cnn_gosCqg

https://www.youtube.com/watch?v=0mGyHH2yluk