ジャズ on the net|JAZZの名曲・名演を動画で試聴

Jazzの歴史から代表的アーティスト、名演奏、スタンダードナンバー、おすすめの名盤まで―YouTubeの動画を視聴しながら、ジャズを愉しむためのツボをご紹介します。

アルトサックス(3)―アート・ペッパー

改めて過去の記事のタイトルを眺めたところ、ジャズのフロントとして欠かせないアルトサックス・プレイヤーをまだ三人しか取り上げていないことに気付いた。そこで今回は、優れた、そして個性豊かな人材を擁するそのジャンルから、新たに一人をご紹介したい…

いつか王子様が(Someday My Prince Will Come)

映画・文学にしろ音楽にせよ、その作品のタイトルを適正かつ味わい深く訳すのが簡単でないことは、あらためて言うまでもないだろう。違和感を禁じ得ないような邦題がまかり通ってしまっている例が遺憾ながら見られるのも、そのためである。そんな中、"Someda…

テナーサックス(4)―ハンク・モブレー、コールマン・ホーキンス

ソニー・ロリンズとジョン・コルトレーンをご紹介し、これでテナーサックス奏者は一段落―と安堵したわけではないのだが、以来、このジャンルの記事は暫くご無沙汰になってしまった。しかし実際は一段落どころではなく、このジャンルにはまだまだ取り上げねば…

枯葉(Autumn Leaves)

平地ではまだ夏の名残が色濃いかもしれないが、山の上の木々は既にだいぶ色づき、時折散り落ちる葉も見え始めている。この季節、聴かずにはいられない曲がある―と言えば、もうお分かりだろう。そう、数あるスタンダードナンバーの中でも、最も多くのアーティ…

スターダスト=星屑(Stardust)

「夜」をモチーフにしたジャズの名曲は枚挙に暇がない。そのような数ある宝石の中でも、「スターダスト=星屑(Stardust)」は、魅力・知名度ともにトップクラスに位置する作品と言え、多くのアーティストが好んで取り上げてきたという事実がこれを裏付けてい…

恋のチャンスを(Taking A Chance On Love)

「恋のチャンスを」あるいはよりシンプルに「恋のチャンス」との邦題をもつ"Taking A Chance On Love"もまた、1940年公開のミュージカル「キャビン・イン・ザ・スカイ」に挿入歌として使われた曲である。良妻ペチュニアと悪女ジョージア・ブラウンとの間で揺…

マイ・ファニー・ヴァレンタイン(My Funny Valentine)

現在、ジャズのスタンダードナンバーとして定着している曲には、元々ミュージカルのために書かれたものが少なくないが、今回ご紹介するマイ・ファニー・ヴァレンタイン(My Funny Valentine)その一例である。作詞・作曲はそれぞれロレンツ・ハート、リチャー…

トランペット(3)―リー・モーガン、フレディ・ハバード

「トランペット(1)」および「トランペット(2)」でご紹介したように、ある意味ディジー・ガレスピーを源流として、時代を画するトランペッターが二人現れた。彗星の如く姿を見せ、瞬く間にこの世を去った、ブラウニーことクリフォード・ブラウンと、後に帝王…

ベース(2)―ロン・カーター、スコット・ラファロ

今回はまたミュージシャンへと戻り、まだ一度しか取り上げていないジャズ・ベーシストをご紹介しようと思う。破天荒、自堕落といった形容詞が付きもののジャズ・ミュージシャンの中、異彩を放っているのがロン・カーターである。1959年にイーストマン音楽学…

オール・オブ・ユー(All of You)

有名なスタンダード・ナンバーである「オール・オブ・ユー(All of You)」は、1955年のミュージカル「絹の靴下(Silk Stockings)」を彩る一曲として誕生した。このミュージカルの原作は、ハンガリーの劇作家メルヒオル・レンジェルのシニカル・コメディ「ニノ…

ミスティ(Misty)

今回ご紹介するスタンダード・ナンバー「ミスティ(Misty)」は、私が「ジャズ」と意識して聴いた最初の曲(そして演奏)で、それゆえ一種特別の想いがある。もう数十年も前のことになるが、オーディオ雑誌に掲載されていた記事を読んでジャズに興味をもち、土曜…

バイ・バイ・ブラックバード(Bye Bye Blackbird)

1920年代の中期、名コンビとして数々のヒット曲を世に送り出した作曲家レイ・ヘンダーソンと作詞家モート・ディクソン。その代表作の一つに、1926年に書かれた「バイ・バイ・ブラックバード(Bye Bye Blackbird)」があり、次のように歌われる。Blackbird, bla…

女性ヴォーカル(4)―アビー・リンカーン、ビリー・ホリデイ

前回に続き女性ジャズ・ヴォーカリスト。このジャンルについては、本稿の二人をもって一先ず終えようと思う。アビー・リンカーンは、音楽を愛好する家庭に生まれ育ったこともあり、幼い時から学校や教会などで歌っていたものの、プロ・デビューは20歳を過ぎ…

女性ヴォーカル(3)―カーメン・マクレエ、アニタ・オデイ

今回は女性ジャズ・ヴォーカルに戻り、二人をご紹介する。先に「女性ジャズ・ヴォーカル(2)」において、エラ・フィッツジェラルド、サラ・ヴォーン、ビリー・ホリデイを、「三大ジャズ女性ヴォーカル」とご紹介したが、ビリー・ホリデイの代わりにカーメン・…

A列車で行こう(Take the 'A' Train)

前回に引き続いてジャズの名曲・名演、今回ご紹介するのは「A列車で行こう(Take the 'A' Train)」だ。あらためて言うまでもなく、これは数あるスタンダードナンバーの中でも特に有名なものの一つで、たとえ曲名は知らなくても…

マイ・ロマンス(My Romance)

ジャズ・アルトサックス・プレイヤーが二回続いた後の今回は、スタンダード・ナンバーへ戻って「マイ・ロマンス(My Romance)」をご紹介したい。この曲は、1935年に初演されたミュージカル「ビリー・ローズのジャンボ」の主題歌として、詞はリチャード・ロジ…

アルトサックス(2)―ジャッキー・マクリーン、キャノンボール・アダレイ

アルトサックス・プレイヤーの二人目としては、ポスト・チャーリー・パーカーとも呼ばれたジャッキー・マクリーンをご紹介したい。「ジャズ・テナーサックス(3)」においても述べた通り、マクリーンはハイスクールにいた時分、ソニー・ロリンズ、ケニー・ドリ…

アルトサックス(1)―チャーリー・パーカー

ジャズの代表的アーティストの紹介に戻り、アルトサックス・プレイヤーを取り上げたい。ジャズ・シーンにおいて、アルトサックスはテナーサックスに比べると人気の面では一歩譲るかもしれないが、それに勝るとも劣らない重要な位置を占める楽器であることは…

降っても晴れても(Come Rain or Come Shine)

前回に続き、ジャズ・スタンダードナンバーを取り上げたい。多くの聴衆やアーティストに愛されて、歌い継がれ、演奏され続ける曲を「スタンダード・ナンバー」ということは先にも述べたが、この言葉の由来をご存知だろうか?これは、もともとニューヨークの…

オン・グリーン・ドルフィン・ストリート(On Green Dolphin Street)

しばらくジャズのアーティスト、すなわち人物の紹介が続いてきたので、ここでまた少し視座を変え、楽曲を取り上げてみようと思う。と言っても、ジャズで奏される曲は星の数ほどあり、そこから何を選択すべきか途方にくれるので、先ずは「スタンダード・ナン…

ピアノ(4)―ビル・エヴァンス

もう一人はビル・エヴァンス。エヴァンスの名は、単にジャズ・ファンに限らず、音楽好きなら恐らく誰でも耳にしたことがあるのではないかと思う。ところで、"William John"がどうしてBillとなるのか、これはニックネームなのか、と疑問に思う方もいるかもし…

ピアノ(3)―セロニアス・モンク

ここでジャズ・ピアニストへ戻り、この分野で忘れてはならない―実際、その演奏を一聴したら決して忘れないであろう、二人の巨人を取り上げたい。その一人は、セロニアス・モンクである。ユニーク・個性的という形容詞の冠される人物に事欠かないジャズの世界…

男性ヴォーカル(2)―ジョニー・ハートマン、チェット・ベイカー

男性ジャズ・ヴォーカル(1)としてルイ・アームストロングをご紹介してからだいぶ時が経ってしまったが、今回その(2)として二人のシンガーを取り上げる。先ず一人目はジョニー・ハートマン。1947年、あるコンテストで優勝し、その褒賞としてアール・ハインズ…

ドラム(2)―アート・テイラー、マックス・ローチ

先に「ジャズ・ドラム(1)」でご紹介した二人、アート・ブレイキー、フィリー・ジョー・ジョーンズとは趣を異にする、しかし極めて重要なドラマーとしてアート・テイラーを取り上げないわけにはいかない。テイラーのドラミングはどちらかというとソフト、かつ…

テナーサックス(3)―ソニー・ロリンズ、ジョン・コルトレーン

さて、先の三人と比較しようというわけではないが、今回取り上げるのは、いずれも「これぞテナー」といった重厚な音を響かせるアーティストだ。それも、ジャズ・テナー界を代表する二巨人――となれば、もうその名は言わずもがな。ソニー・ロリンズとジョン・…

テナーサックス(2)―ズート・シムズ、レスター・ヤング

前回に続き、ジャズ・テナーサックスを取り上げる。まず初めに、一曲お聴き頂きたい。・恋のチャンスを(Taking A Chance On Love) これは、ズート・シムズのパフォーマンスだが、前記事でご紹介したスタン・ゲッツに通じる雰囲気が感じられないだろうか?ゲ…

テナーサックス(1)―スタン・ゲッツ

ジャズの代表的アーティストのご紹介に戻ろう。トランペッターは三人で一先ず小休止し、テナーサックス奏者に入る。アーティストを挙げる前に、老婆心ながらごく初歩的なことをいくつか述べておきたい。まず、サックス(sax)とはサキソフォンの略称であり、ピ…

クリスマス・ジャズ(2)―マンハッタン・トランスファー、デューク・ピアソン

クリスマス・ジャズの第二回。私の属する世代には、「アカペラ」と聞いて反射的にマンハッタン・トランスファーの名を思い浮かべる人が多いのではないかと思う。ポップス・フィーリングに富んだジャズ・コーラス・グループとして、1970年代から華々しい活動…

クリスマス・ジャズ(1)―ダイアナ・クラール、エディ・ヒギンズ

現在続けている、代表的アーティストのシリーズを小休止して、この時季に相応しいアルバムをご紹介しようと思う。名付けて、クリスマス・ジャズ。まず初めに、ダイアナ・クラールの「クリスマス・ソングズ」を取り上げたい。これまで、私の個人的嗜好もあっ…

トランペット(2)―マイルス・デイヴィス、ケニー・ドーハム

ガレスピーの傍らから、もう一人、後代に圧倒的な影響を及ぼすことになる巨人が現れた。マイルス・デイヴィスである。前回、クリフォード・ブラウンのデビューのきっかけが、代役としてディジー・ガレスピーと共演したことであるとご紹介したが、このマイル…