ジャズ on the net|JAZZの名曲・名演を動画で試聴

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アルトサックス(1)―チャーリー・パーカー

ジャズの代表的アーティストの紹介に戻り、アルトサックス・プレイヤーを取り上げたい。

 


ジャズ・シーンにおいて、アルトサックスはテナーサックスに比べると人気の面では一歩譲るかもしれないが、それに勝るとも劣らない重要な位置を占める楽器であることは確かだろう。

 

このように言わしめる要因の一つが、アルトサックス奏者、チャーリー・パーカーの存在である。

 


カンザス・シティに生まれたチャーリー・パーカー(Charlie Parker Jr.、1920年8月29日-1955年3月12日)は独学で音楽を学び、15歳でプロのミュージシャンとしての活動を開始した。

 

Charlie Parker

 

当時パーカーが心酔していたのは、結成間もないカウント・ベイシー楽団のスウィンギーな演奏、特にそこに在籍していたレスター・ヤング(Lester Young)のプレイだったが、ジェイ・マクシャン楽団の一員としてニューヨークを訪れた際、そこに留まってディジー・ガレスピー(Dizzy Gillespie, tp)やセロニアス・モンク(Thelonious Monk, p)らの主催するジャム・セッションに参加。

 

これが母体となり、後にビ・バップと呼ばれることになる新しいスタイルのジャズが生まれたのである。

 

ビ・バップの特徴は、ごくざっくりと言えば、即興により、激しく上下動するメロディー・ラインを電光石火の如きフレーズで奏する点にある。

 

これを具現するに、パーカー、ガレスピーはどちらも、その楽器・技術ともに誂え向きであり、この二人を中心にして来るべきモダン・ジャズの黄金期の幕が開かれた事実は、天の配剤といった感もある。

 

 

 


このようにジャズに革新をもたらしたパーカーだが、彼のプレイはあくまでも優雅かつメロディアスで、これがミュージシャンを含む多くのジャズ・ファンの心を惹きつけ、今も魅了し続けていると言ってよいだろう。

 

しかし、ジャズの世界ではよくあるように、パーカーも若くして酒と麻薬に溺れ、華々しい輝きを放ったのはごく短い年月で、わずか34歳にしてこの世を去った。

 


なお、パーカーの愛称「バード(bird)」もしくは「ヤード・バード(yard bird)」の由来については、ルイ・アームストロング(Louis Armstrong)の場合と同じく諸説があり、彼が食うに困ってジミーズ・チキン・シャックというレストランで働いていたとき、とんでもない数のチキンを平らげたこと、およびそこの裏庭でサックスの練習に励む姿から、あるいは、鳥のように自由奔放で華麗なプレイに基づく――などと言われている。

いずれにせよ、パーカー本人がこの愛称を気に入っていたことは間違いなく、それは「Bird Gets The Worm」「Yardbird Suite」といったタイトルを自作曲に付していることから窺える。

 

最後に、パーカーの代表作の一つ「ムース・ザ・ムーチェ(Moose The Mooche)」を試聴頂いて本稿を終えよう。