ジャズ on the net|JAZZの名曲・名演を動画で試聴

Jazzの歴史から代表的アーティスト、名演奏、スタンダードナンバー、おすすめの名盤まで―YouTubeの動画を視聴しながら、ジャズを愉しむためのツボをご紹介します。

男性ヴォーカル(1)―ルイ・アームストロング

今回、そして後日もう一度くらい、男性ジャズ・シンガーをご紹介しようと思う。

 

個人的に、ジャズ・ヴォーカルという分野においては、どうしても女性優位の感を覚え、正直なところ男性ヴォーカル曲を聴くことはさほど多くない。

 

これは、ジャズの雰囲気を醸し出す、恋慕・感傷・哀愁といった情調を表現するには女声の方が適しているように感じるからだ(くどいようだが、あくまで個人的に)。

 


とはいえ、無論、男性ヴォーカルにもぜひ取り上げておきたいアーティストはあり、ここでは特に、「ジャズらしさ」という点に着目して選んでみたい。

 


先ず一人目は、何といっても「サッチモ」ことルイ・アームストロング(Louis Armstrong、1901年8月4日-1971年7月6日)を挙げねばなるまい。

 

Louis Armstrong

 

ジャズ発祥の地、ニューオーリンズで生まれたルイは、幼少時、祭りに浮かれてピストルを発砲したため、少年院に入る羽目に。

 

しかし、そこのブラスバンドでコルネットに出会い、これが後の栄光の礎になるとは、人生の不思議さを示す一例といえよう。

 

ところで、「サッチモ」という奇妙なニックネームの由来についてはいくつかの説があるようで、その一つは、「なんてでかい口なんだ!(Such a big mouse!)」という驚愕の言葉の転化である。

 

実際、その口を具えた顔は一目見たら忘れられないものだが、さらにそこから発せられるひどい濁声を聴けば、夢に出てきてもおかしくないほど強烈な印象を誰もが受けるに違いない。

 

1920年代にトランペッターとして確固たる名声を得ていたルイは、この、およそ歌には相応しからぬ、それでいてこの上なく味わい深い声と、魅力に富んだ性格により、より広く、また深く人々に愛されるようになった。

 

その人気が確固たる実力に裏打ちされたものであることは、「ルイこそミスター・ジャズだ。」(デューク・エリントン)、「ルイの影響を受けていないトランペッッターはいない。」(マイルス・デイヴィス)といった巨人たちの言葉が如実に物語っているといえよう。

 

次に挙げた視聴曲は、当時ヒットチャートのトップを独占し続けていたビートルズを、その座から追いやったという会心のパフォーマンスである(時にルイは御年63)。

 

ハロー・ドーリー!(Hello, Dolly!)