ジャズ on the net|JAZZの名曲・名演を動画で試聴

Jazzの歴史から代表的アーティスト、名演奏、スタンダードナンバー、おすすめの名盤まで―YouTubeの動画を視聴しながら、ジャズを愉しむためのツボをご紹介します。

スターダスト=星屑(Stardust)

「夜」をモチーフにしたジャズの名曲は枚挙に暇がない。

 

そのような数ある宝石の中でも、「スターダスト=星屑(Stardust)」は、魅力・知名度ともにトップクラスに位置する作品と言え、多くのアーティストが好んで取り上げてきたという事実がこれを裏付けている。

 

作曲者はホーギー・カーマイケル(Hoagy Carmichael)、作詞はミッチェル・パリッシュ(Mitchell Parish)で、次のように歌われる。

 

And now the purple dusk of twilight time

たそがれ時の紫の夕闇が

Steals across the meadows of my heart

僕の心の草原(くさはら)にしのび込み

High up in the sky the little stars climb

天高く小さな星々が上ると

Always reminding me that we're apart

離れていった君を思い出す

 

You wander down the lane and far away

小道をさまよい君は去った

Leaving me a song that will not die

消えることない歌を残して

Love is now the stardust of yesterday

今その恋は過去の星屑

The music of the years gone by

過ぎ去りし年月の音楽

 

Sometimes I wonder why I spend

時折僕は考える、独りで過ごす夜に

The lonely night dreaming of a song

ある歌が心に浮かぶのはなぜだろう

The melody haunts my reverie

その調べが夢に現れると

And I am once again with you

僕はまた君と一緒にいる

When our love was new

二人の愛がまだ新鮮で

And every kiss an inspiration

口づけの喜びに震えた頃のように

But that was long ago

でももうそれは遠い昔

Now my consolation

いま僕を慰めてくれるのは

Is in the stardust of a song

星屑のように煌くあの歌だけ

 

 

 

 

 

このように、詞は曲の印象とぴったりフィットする内容だが、実は曲が作られたのは1927年で、詞が成ったのは1929年、その2年後のことである。

 

また、元々カーマイケルの書いたのは、「納屋の前庭のダンス(Barnyard Shuffle)というタイトルの、アップテンポの曲だった。

 

それを聴いて、テンポを遅くするようカーマイケルにすすめ、さらに現在知られている「スターダスト」というタイトルを提案したのは、彼の同級生だったスチュアート・ゴレル(Stuart Gorrell)、後に「我が心のジョージア(Georgia On My Mind)」の詞を書くことになる人物である。

 


1931年にビング・クロスビーが歌って以降、「スターダスト」は数多のヴォーカリストに歌われ続けており、江利チエミ、ザ・ピーナッツ、そして御大美空ひばりによる歌唱もあることから、日本でも特によく知られたスタンダード・ナンバーと言えるだろう。

 


最後に二つ、エラ・フィッツジェラルド(Ella Fitzgerald)、ジョン・コルトレーン(John Coltrane)によるパフォーマンスをお聴き頂いて本稿を終えようと思う。

 

https://www.youtube.com/watch?v=lp5uBTsaURI

https://www.youtube.com/watch?v=TeFeLaEsHBs

 

 

 

恋のチャンスを(Taking A Chance On Love)

「恋のチャンスを」あるいはよりシンプルに「恋のチャンス」との邦題をもつ"Taking A Chance On Love"もまた、1940年公開のミュージカル「キャビン・イン・ザ・スカイ(Cabin in The Sky)」に挿入歌として使われた曲である。

 

良妻ペチュニアと悪女ジョージア・ブラウンとの間で揺れ動くリトル・ジョーの物語が、善と悪それぞれの使者の戦いに絡めて展開されるこのミュージカルは、1943年にヴィンセント・ミネリが初めてメガホンをとった作品として映画化され、さらにベニー・グッドマン(Benny Goodman)の吹き込んだレコードが大ヒットしたことで、ジャズのスタンダードナンバーとして確固とした地位を占めるに至った。

 

 

 


ところで、このスタンダードナンバーについては、作曲がバーノン・デューク(Vernon Duke)、作詞はジョン・ラトゥーシュ(John La Touche)とテッド・フェッター(Theodore "Ted" Fetter)とクレジットされている。

 

このように作詞者として二人の名が上がっている理由は、「恋のチャンスを」は元々、デュークとフェッターにより「Fooling Around With Love」という作品として書かれていたものを、「キャビン・イン・ザ・スカイ」の公開直前、曲がもう一つ必要になったことから、詞にラトゥーシェが手を入れて成ったため。

 

その第一コーラスの歌詞を、拙訳を付して引用させて頂くことにしよう。

 

Here I go again

さあもう一度

I hear those trumpets blow again

胸でトランペットが鳴り出した

All aglow again

すべてのものが輝く今

Taking a chance on love

この恋に賭けてみよう

 

Here I slide again

もたもたしないで

About to take that ride again

流れに乗り遅れないようにしろ

Starry-eyed again

目を星のように煌めかせ

Taking a chance on love

この恋に賭けてみよう

 

I thought that cards were a frame-up

トランプさえ八百長だと思っていたから

I never would try

賭けようともしなかった

Now I'm taking that game up

でも人生を賭けるなら今だ

And the ace of hearts is high

ハートのエースは強いのだから

 

Things are mending now

すべてがいい方へ向かっている

I see a rainbow blending now

空には虹までかかっている

We'll have a happy ending now

きっと素晴らしい結果になるさ

Taking a chance of love

だからこの恋に賭けてみよう 

 

 

デュークによる曲も、この詞によくマッチした、非常に明るくノリのよいものとなっている。

 

そのパフォーマンスの一つは、先に「テナーサックス(2)―ズート・シムズ、レスター・ヤング」でもご紹介しているが、ここでさらに二つを挙げて本稿を終えよう。

 

jazz-cafe.hatenablog.com

 

https://www.youtube.com/watch?v=zojVj99LIi8

https://www.youtube.com/watch?v=fX4PUar1TY8