恋のチャンスを(Taking A Chance On Love)
「恋のチャンスを」あるいはよりシンプルに「恋のチャンス」との邦題をもつ"Taking A Chance On Love"もまた、1940年公開のミュージカル「キャビン・イン・ザ・スカイ(Cabin in The Sky)」に挿入歌として使われた曲である。
良妻ペチュニアと悪女ジョージア・ブラウンとの間で揺れ動くリトル・ジョーの物語が、善と悪それぞれの使者の戦いに絡めて展開されるこのミュージカルは、1943年にヴィンセント・ミネリが初めてメガホンをとった作品として映画化され、さらにベニー・グッドマン(Benny Goodman)の吹き込んだレコードが大ヒットしたことで、ジャズのスタンダードナンバーとして確固とした地位を占めるに至った。
ところで、このスタンダードナンバーについては、作曲がバーノン・デューク(Vernon Duke)、作詞はジョン・ラトゥーシュ(John La Touche)とテッド・フェッター(Theodore "Ted" Fetter)とクレジットされている。
このように作詞者として二人の名が上がっている理由は、「恋のチャンスを」は元々、デュークとフェッターにより「Fooling Around With Love」という作品として書かれていたものを、「キャビン・イン・ザ・スカイ」の公開直前、曲がもう一つ必要になったことから、詞にラトゥーシェが手を入れて成ったため。
その第一コーラスの歌詞を、拙訳を付して引用させて頂くことにしよう。
Here I go again
さあもう一度
I hear those trumpets blow again
胸でトランペットが鳴り出した
All aglow again
すべてのものが輝く今
Taking a chance on love
この恋に賭けてみよう
Here I slide again
もたもたしないで
About to take that ride again
流れに乗り遅れないようにしろ
Starry-eyed again
目を星のように煌めかせ
Taking a chance on love
この恋に賭けてみよう
I thought that cards were a frame-up
トランプさえ八百長だと思っていたから
I never would try
賭けようともしなかった
Now I'm taking that game up
でも人生を賭けるなら今だ
And the ace of hearts is high
ハートのエースは強いのだから
Things are mending now
すべてがいい方へ向かっている
I see a rainbow blending now
空には虹までかかっている
We'll have a happy ending now
きっと素晴らしい結果になるさ
Taking a chance of love
だからこの恋に賭けてみよう
デュークによる曲も、この詞によくマッチした、非常に明るくノリのよいものとなっている。
そのパフォーマンスの一つは、先に「テナーサックス(2)―ズート・シムズ、レスター・ヤング」でもご紹介しているが、ここでさらに二つを挙げて本稿を終えよう。
https://www.youtube.com/watch?v=zojVj99LIi8
https://www.youtube.com/watch?v=fX4PUar1TY8